私が生まれたのはあまり知られていない、小さな小さな村だった。
そこはすごく田舎で、子どもが私を含めて15人しかいなかった。
もちろん忍も居なくて、私たちは授業で習った火の国の木の葉の里に憧れた。
小さな村だからみんながみんな仲良しで笑いあっていた。
(そう、思っていたのは私だけみたいだった)
ある日、一人のお婆さんが訪ねて来た。
「鬼が目覚める、ここは危険じゃ。早う非難せい」
鬼とは、私たちの村に代々伝わる話で歴史の授業でも習った覚えがある。
200年ほど昔に村を襲い、村人の殆んどを食らっていったらしい。
その鬼はすぐそこの山に住み着いていると言われ、子どもの頃に何かしでかしたらそこの山に捨てに行くぞと脅されて育ってきた人が殆んどだ。
(ただの、おとぎ話だと思っていたのに)
村人は逃げ惑った。それを見た私も焦って逃げ出そうとした。
なのに、お母さんの手を掴もうとした手は振り払われて。お父さんの方を向いたら顔を背けられた。
二人とも、否、村人みんなが私をみて怯えていた。
「鬼の子が」
そう、どこからか聞こえてきた。その時、私の中で何かが、繋がった気がした。
そこからの私は狂っていた。違う、ここの村すべてが狂っていた。
気が付けば私以外に立っている者はおらず、村一面に赤い血が広がっていた。
手には少し大きめの扇子が握られており、手は真っ赤だった。
幾つもの世界を積み上げて、
私は足場を失った
これから、何処へ行こうかとふらふらと歩き出して私は渦に呑まれたんだ。
(06.04.09/どーにでもなってください)