あまいもの


夢を見る。
俺のために吹いた風ではない風に乗って空を飛ぶ夢を。
俺の風じゃないのに、すっげぇ楽しくてトリックもいつもよりきまりやすい。
もっと高く、もっとあの空の近くへ!
そして俺は堕ちていく。


「…っ…!!」


夢だ。そう、また、あの夢を見た。ただの夢だ。
あの駄菓子屋に行ってから俺はずっと何かの警告かのように同じ夢をくり返し見ては汗だくになって起きる。どうかしてる。俺を堕とす風があんなに気持ち良いはずが無い。どうかしてる。


机の上に置きっぱなしのA・Tを横目で見て最近飛んでないからか、と思ってみる。
が、あんな夢を見たら飛ぶ気になれない。でも、飛びたい。どうすっか。


飛ぼう。
涼しい風に当たって落ち着こうぜ、俺。
布団から出て立ち上がりA・Tを手に窓から飛び出した。


その夜の風はすっげぇ気持ちいい風で、トリックがいつもよりきまった。
夢だと気付かないのは、あまりにも、夢のように楽しかったから。




(2007。05。31。。久々すぎて。つか他ほったらかしかよ)