001 I am ... (私は無知な子供)
「おじちゃんは、遊んでくれる人…?」
「ひひっ…そうだよ、ひひひっ、ふっ、ははっ」
「じゃあ、遊ぼう」
ひんやりと暗い地下の一室。第二研究所と黒い人は言っていた。
黒い人とはいつも黒いスーツを着て『遊んでくれる人』を連れて来てくれる人のこと。
ご飯も持ってきてくれる。毎日、お顔が変わって名前も変わるから私は黒い人って呼んでるの。
今日も黒い人は『遊んでくれる人』を連れて来てくれる。
今日はちょっと太いおじちゃんだった。
おじちゃんは包丁を持っていたから私はナイフにしてみた。
今日のおじちゃんは笑顔だった。昨日のお兄ちゃんは笑ってくれなかったから。
でも、おじちゃんの笑い方嫌いだな。えぇっと、そう!下品なんだよ。
でもね、私は知ってるの。その笑い方の止め方。
おじちゃんは私の前まで来て包丁を振り上げた。
だから私は目の前のお腹にナイフを入れるの。
「ぐわぁっ!ひっぅ…!」
ほらね。笑い声がしなくなった。お腹からナイフを取ったら血がぴゅっってでてだーって出てくるの。
この瞬間がね、楽しいんだ!
「ぐぅわぁあああ!」
「がおーっ!ふふっ、がおーっ!」
入れたり取ったりしてると、みんな恐竜みたいにガオーって言うの!
みんなも楽しいから私も楽しいんだ。
でも、みんなすぐに飽きるみたい。ほら、おじちゃんも黙って寝んねしちゃった。
まだ私は遊んで欲しいのに。
私がおじちゃんに飽きた頃に黒い人はおじちゃんを連れてっちゃう。
前にどこに行くのって聞いたら帰るんだよって教えてくれた。
私はついてっちゃダメなんだって。
ここからでたら誰も遊んでくれなくなるからって。それは嫌だもん。
なのに、今日は黒い人が外に連れてってあげるって。
楽しみだけど遊べなくなるのは嫌!って言ったら外にはいっぱい遊んでくれる人がいるみたい。
楽しみだな!
着いて行こうとしたらお薬を渡された。
「なあに?」
「飲みなさい」
「外に出るため?」
「…あぁ」
ぱくって口に入れてゴックンする。
あ、このお薬知ってる…眠く…なる…や…つ……だ……
さぁって何かが。なあに?
「うー…なあに?まぶしい…?」
明るい!緑?なあにここ!?
「あ!外だ!知ってる!森でしょ、木でしょ、あ!土だ!じゃあこのさぁって風だあ!はっぱー!」
外だ!本で読んだことあるよ。月でしょ、星でしょ、今は夜なんだ。
夜は暗いって書いてあったのに全然暗くないよ。
お昼はもっと眩しいのかな?楽しみだな。遊んでくれる人はどこかな。
あれ?黒い人がいないよ。
「お前、何者だ」
「あ!おにーちゃんが遊んでくれる人?」
(07.10.16/日本人やのに国語力無いって…死)