002 I am ... (私は子悪魔



変なやつに会っちまった。
気配なんか全然ないところから「はっぱー!」と聞こえてきた。
つんのめりそうになったのは秘密だ。暗部が聞いて呆れる。

急いで声のほうへ向かう。完璧に気配を絶っている。かなりのやり手か。
声の主と思われる者は少し空けたところにいた。こちらも気配を完璧に絶ち近くの木へと移り様子をうかがう。
罠か?
先ほどの声で、子どもかもしれないとは思っていたが…
視線の先には13歳程の髪の長い女がいた。
その女は土やら木の幹やら葉っぱやらを落ち着き無く触っていたかと思うと、
顔をあげ、嬉しそうに空を眺め、一人頷いていた。
意味が分からない。隙だらけだ。気配は綺麗に絶っているのに。
罠か?罠なのか?

埒があかないと思った俺はしかたなく相手の後ろに立ちクナイを構え問う。


「お前、何者だ?」

「あ!おにーちゃんが遊んでくれる人?」

「……(は?)」


よく分からないがどう考えてもこの状況は遊ぶとはほど遠いと思う。
なのになんだこの女。そんなに嬉しそうに聞かれても困るんだよ。
つーか、容姿の割におさねぇーな。頭が。


「ねぇ…遊んでくれるんでしょ?」

否、そんな不安そうに言われても。幻術…でもなさそうだしな。

「悪いが、そんな冗談に付き合ってるほどコッチは暇してねーんだ」

そう言ってクナイを構える。

「あ、やっぱり、遊んでくれるんだ。ふふっ」

「…」


一々構ってたら日が暮れそうだからとりあえず捕まえてじじぃんトコまで持ってくことにするか。
一瞬で間合いを詰めて、クナイの後ろで頭を殴って終了の予定だった。そう、予定。
気付いたらそいつはいなくてさっきまで俺がいた場所にいる。


「おにーちゃんはっやーい!ねぇねぇ、そのお面はずさないの?」

「お前何者だ」

「んー、コードNo.10554。おにーちゃんのお名前は?」

「ふざけてんのか(コードなんばー?)」

「もー!私のえっと、質問。そう質問に答えてない!」


いーもん次は私から行くから。とか言っていつの間に出したのか分からないナイフを持ちこちらに向かってくる。
とっさに避けるが速さは俺と同じぐらい。もしこれが本気でないとしたらヤバイぞ俺。

キンッ キンッ

ナイフをクナイではじき返すのがやっとだ。いつの間にか全く別の木々が生い茂った深いところまで来ている。
くそっ!なんつースピードしてやがる!


「おにーちゃん楽しいね!前の忍者のお兄ちゃんみたい!」

「前の忍者…?どこかの忍か?」

「うん!えっとねぇ、このはの抜け忍とかなんとか」

「!!ったく。色々聞き出さねぇーとな」


ヒュッっとクナイを投げて印を組む。実体化したいくつものクナイが女の周りを囲った。
死なねぇ程度に傷をつければいい。クイッっと指を動かすとクナイが一気に女に向かった。






07.10.16/ちょこっとブラッドプラスネタ入れます