003 I am ... (私は不死身)
クナイがぶつかる音がした。土埃で少し視界が悪い。
強めの風が吹いた時、目の前にはクナイがいたるところに刺さっている血まみれの女がいた。
気を失っているのかピクリともしない。
急所は外したはずだ。
「終ったな」
溜息と共にポツリと呟いた。
その時、俺は女の口元が笑っているのに気付いた。そして開く。
「ふふっおにーちゃん強いね」
どうなってる。俺は目を疑った。
クナイはポンッとその場にそぐわない可愛らしい音をたてて消えた。
女は己の右腕に刺さったままの本体を見、嬉しそうに笑う。そして抜き取った。
ぶくぶくっと奇妙な音をたてながら全ての傷は消えていた。
全て、何事もなかったかの様に女は立ち、ただ俺のクナイを左手に持っていた。
かんべんしてくれ。俺もある程度の傷はすぐに治るが、あんなに一気には治らない。
チャクラを使った気配も無かった。つまり
「不死身か…」
そういえば、ナイフがない…?
笑いながらスッっと俺の後ろの木を指差す。
何だ。見ろとでも言うのか。敵に隙を見せろとでも。
「惜しいね。もう少しでささったのにー」
チラッっと指差している方へ視線を向け気配で見る。
木にナイフが刺さっていた。あと、何センチかずれていたら俺に刺さるであろう場所に。
「何者だよ、お前」
ホントに今日はついてない。シカマルじゃねーけどめんどくせー。
どうする。俺はあいつじゃねぇからとっさに良い策なんて思いつかねぇ。
生け捕りは、諦めるか。
「クスクス、それ、三回目だよ。おにーちゃん」
「俺はてめぇの兄貴でもなんでもねぇんだよったく」
「名前、教えてほしい?」
「普通の名前をな」
「おにーちゃんが教えてくれたら教えるよ」
「…(何考えてんだ)ギンコだ」
「ぎんこ…ぎんこーみたい。私はね、」
そう言うとと名乗った女は俺の目の前に来て俺のクナイで腹を刺した。
急いで間合いを取るがすぐにまた目の前まで来て次は腕を刺した。
速いっ!くそっ!いてぇんだよ!印を組む暇すらねぇ…!
「私のね、友達が付けてくれたの」
その言葉を最後に俺の意識は途絶えた。
(07.10.17/名前変換やっと…!)