004 I am ... (私はNo.10554)
なんとなく今が幻術でなく、そしてさっきの戦闘も現実だったことがわかった。
ただ、こいつの話し方が分かりにくすぎる。
なんというか、表現力というのかそういうものが全く無い。
今まで読んできた本の量が多いためか知識は豊富だが、
本来人と接して備わっていく「話し方」ができていない。
オレが言うことは全て理解するんだが、それに返答できてない。
頭の中に辞書を丸々入れて話すときにわざわざ引いているような感じだ。
人と接することに慣れていないみたいだった。
(起きてイキナリ殺したてのウサギをいただいた…いやがらせか?)
「さっきのが幻術じゃねぇのは信じよう(忍びが信じるって…はあ…)」
「えっと、…ありがとう…?」
そう言っては嬉しそうにはにかんだ。
語尾が少し疑問系なのは使い方があっているか不安なのだろう。
少し話していて慣れた。だが疲れる。
「でだ、結局お前は何者なんだ」
さっきの戦闘でオレが負った傷はが治したらしい。
なんでもこいつの血にはものすごい治癒能力があるらしい。
詳しいことは本人も知らないと言っていた。
特に、心臓に近いところの血が効くらしい。
そこで自分の心臓付近にナイフを刺して血を出しオレの傷口にかけたそうだ。チャクラまで回復してやがる。
傷が治って生きているのは嬉しいがそれって大丈夫なのか。まあ、九尾がなんとかするだろう。
「んー…No.10554??」
「ちげぇよ。じゃあ先ず、お前は何処から来たんだ」
「第二研究所!」
「…研究所…?何処の?」
「うんっと……わかんない」
「じゃあお前は何処に帰るんだ(…はあ)」
「…わかんない」
そこまで言って泣きそうな顔になる。なあ、これってオレが悪いのか。そうなのか?
だがこいつを安易に里にもって帰れない。だからといってオレはこいつには敵わない。
どうしたものか。せめてその殺人衝動を抑えてくれたならどんなに楽か。
オレが動けるとわかった途端に「遊べるの!?」と言ってナイフを構えたので焦った。
なんでも、黒い人とか言う奴等に殺人を遊びとして教育されてきたようだ。
(とりあえず殺すという言葉と死ぬの意味を教えてやった。)
確かにそういう教育をしている忍びの国があったにはあったがそれはすぐに滅んだそうだ。
「その、『殺し』は我慢できないのか」
「…悪いことだから?」
「オレがこれから帰るところにはオレみたいな忍びや一般人がいる」
「えっと、…みんな死んじゃったら困る…?」
「そうだ(案外吸収力が早いな…)」
この調子だとこいつを明日にでも里へ持ち帰り火影のじじぃに報告することになるな。
そのまえに一般常識を教えておこう。第二研究所のことも少しは聞けるといいが。
夜になるのがはやかった。すでにあの戦闘から丸一日経とうとしていた。
もうすぐまたあの月が輝きをとりもどす時間だ。
(08.01.25/なんか訳がわからなく…)