カサリと足元で落ち葉たちが掠れる音がした。 オレの足によって押しつぶされた柔らかい落ち葉の感覚が足の裏から伝わる。 心なしか地面から冷たい何かを感じながらオレは目の前の人物を見つめる。 少し強めの風が吹いた。 木々がざわめく。月に雲がうっすらとかかった。 オレはそいつに向かってまた一歩を踏み出す。 先ほどと同じ感触を感じながらもう一歩踏み出した。 あと一歩で手が届くような距離だ。 また、一陣の風が吹いた。 そいつの長い髪が風に舞って顔にかかった。 荒い浅い呼吸を漏らしながらそいつはうっとおしそうに髪を払う。 顔中…というか、全身にかいた汗のせいで髪が顔に張り付いていた。 少し残った髪を気にせずそいつは焦点の合わない眼でオレの目を見た。 「ナルト」 オレの名前を呼んだのだろう。声が掠れていてよく聞こえなかった。 スッとそいつの腹にあいた傷を見る。もうダメだろう。 半ば縋り付くようにして、崩れ落ちるようにして、オレはそいつに抱きついた。 月にかかっていた雲が流れ、月明かりで鮮明に見えるそいつの顔は死人だった。 既に手足は冷え切り、顔は土色へと変わっていた。汗が冷たかった。 「悪かった」 守ってやれなくて、そばにいてやれなくて。すぐに駆けつけてやれなくて。 傷を癒してやれなくて。もっと我がまま聴いてやればよかった。 そんな後悔が押し寄せて、膨らんで、伝う涙にさえ気を使わず。 「だいじょうぶだ」 既に息をしていないそいつを力強くだきしめた。 「だいじょうぶだ」 どこかで動物の息遣いが聞こえた。 「」 そしてオレは――― 絶望の奥 で光る星に (08.04.07)ねみーよ |