の歌声
2



今でも忘れない歌声。澄んだように全てに浸透していく声。少し高めで落ち着く声。



「・・・・・けっきょくなんだってばよ」
「ん?だから、歌!」
「・・・・は?」
「んもう!そんなに照れなくっても大丈夫だから!で?何の歌歌って欲しい?」
「・・え・・・別に・・・」

はすっげえ勢いで聞いてくるもんだか俺はすっげえ引いてしまって、キッパリ断って帰るつもりだったのにしどろもどろな返答をしたら何故か流されてしまった。
しかも、はすっげぇ歌が上手くて、上手いの一言で言い表せられないのがもどかしいけど、とにかく俺がその歌声をいつまでも聞いていたいと思ったのは事実だ。
が歌ったのはただの子守唄だった。理由を問うたら「やっぱり子どもには子守唄でしょ!」って。
子ども扱いされたのがすっげぇムカついたけどやっぱり俺はその他大勢の子どもと同じようなところがあるみたいだ。の子守唄を聞いていたら安心して眠ってしまったのだから。

目がさめたときははもう、いなかった。でも、夢かもしんねぇけど頭を撫でられてたような気がする。それからなんか言われた気もする。
それを思い出すとなんだか暖かいつーのかな。とにかく嬉しい気持ちになる。お母さんって存在があったらこんなんなのかもしれない。



「・・・・なぁ、俺、もっかいの子守唄聴きてぇよ・・・」

もし、カミサマが居るんだったら、あんたは俺がバケモンだからこんな運命を押付けるのか?

「・・・・なんで・・・・こんなトコにいんだよ・・・・」

の歌声は今でもちゃんと覚えてる。あたたかくて、やさしかった。撫でてくれた手も、きっとあたたかくて、やさしかった。

「・・・おかしいだろ・・・」

此処は敵地で、任務は成功してて、後は死体を消すだけで。

「・・・・・っ・・」

忍と言うのは悲しい道具で、感情を表に出せない。
泣いてはいけない。取り乱してはいけない。それは、敵に弱みを見せることになる。



「ごめんね。大好きだよ、ナルト。私のたった一人の姉弟なのに、ごめんね」



俺、まだ、の歌声、覚えてる、から、

・・・・・なぁ、もっかい子守唄で俺を眠らせてくれないか。



うわーシリアス!つーか死にネタでごめんんさい。(’05.3.22)